居酒屋嵐、リモート開催編
ぢゅん「ついに俺たちの居酒屋嵐も休業に入ってしまったな」
櫻丼「うん、そんなわけで恒例の集まりもzoom開催のはこびとなったわけですが……」
ミノ「初めて使ったけど、意外とやれるもんだね」
相場「ていうか、ここ数日ミノとまったく連絡がとれなかったからちょっと心配しちゃったよ俺」
ミノ「ごめんごめん、あつまれどうぶつの森の隙間時間でFF7やってたからまじで一瞬もスマホ見る暇がなかったんだよな」
櫻丼「可能なのかそんなマルチタスク」
ミノ「わりといけるよ、あつ森はスローライフを楽しむゆるいゲームだからさ、基本はカブの売買で金を稼いでローンを返済するだけだし」
ぢゅん「ぜんぜんスローライフを楽しむゆるいゲームに聞こえない説明だな」
櫻丼「で、今回は各自で『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』を観てきたんだよね」
ミノ「かなり滑り込みだったよ」
ぢゅん「実は俺、見る前は結構不安が大きかったんだよね、なぜかっていうと、前作の『スーサイド・スクワッド』のジョーカーとハーレイの関係が好きだったのよ、俺。で今回の映画ってあらすじからしてそこが終わってるじゃん」
相場「ハーレイがジョーカーと別れるところから話が始まるもんね」
ぢゅん「スースクのジョーカーとハーレイってさ、確かに破滅的なカップルだけど、常人の理解を超えた部分でなんだかんだ共鳴しあってる感じがあって、そういうのってあれじゃん、こう」
ミノ「エモ?」
ぢゅん「うん。だから今回の映画が今までの二人の関係を全否定する内容だったら悲しいなって思ってたんだけど、そこはうまい具合に回避してたなって」
ミノ「別れた理由もわざわざ描かなかったし、ハーレイがジョーカーとの過去を全否定するってほどの描写もなかったしね」
櫻丼「今回のハーレイの”ジョーカーからの脱却”ってテーマは、単に彼女がジャレッド・レトのジョーカーから別れましたっていうよりは、”ジョーカーに付随する女”というパブリックイメージからの脱却っていう、メタ的な意味だよね。でも、どっちにしろ「シドアンドナンシーみたいなカップルってロマンチック〜」みたいな感性って個人的な萌えとしてはアリでも大々的にはやりづらくないか、今」
ぢゅん「そう言われちゃうとな〜。でもはっきりジョーカーを否定したわけではないからあの後復縁する可能性だってあるはずだ」
ミノ「おっ、「死体が映ってないから死んでない」みたいなこと言いだした」
櫻丼「ファンフィク作家のポテンシャルを感じる」
ミノ「ていうかスースク自体がファンフィクぽかったよね。ずっと脇道の方を追ってる感というか・・・。存在しない本編のファンフィクの方をずっと見てる感じというか。俺はああいうシュミが分かりやすい映画って好きだけど」
櫻丼「今作が本編で前作がそのファンフィクだった可能性?」
相場「じゃあスースクの他の仲間たちの”本編”も作られてほしいな。あのユニコーンのぬいぐるみが好きな人がメインの映画とか見たいもん。今回ちょっと匂わせがあったじゃん」
ぢゅん「俺もちょっと観たいな、悪役主役シリーズ・・・」
ミノ「でも”悪”の定義が難しくなるよな、今回みたいに悪役が主役かつ王道アクションな映画って。ちゃんと”悪”してないとヴィランとしての魅力は目減りするし、かといってやりすぎると悪vs悪の構図がどっちもどっちじゃん、になっちゃう。悪と健全さのバランスをリードキャラがどうとるのか。今回みたいに敵役の悪の方を”より許せない悪”にするしかないか」
相場「ユワンマクレガーの悪役の許せなさはすごかったよね」
ぢゅん「ローマンの仮面への執着ってどういう病理の現れだったんだろう。ハーレイの精神分析スキルでもっと突っ込んで分析して欲しかったかも。ああいうイキってる悪役にとって、”読まれる”っていうか、そういう風に文字で客体化されるっていうのが一番屈辱じゃない?」
ミノ「でもローマンの”厭”さ成分ってどういうとこだったんだろうって考えると、嫉妬深さ、冷酷さ、薄情さ、ヒステリー、さらには自分の性的魅力を利用して強い側近の力に頼ってる、っていうとこも含めて、それって今まで女の悪役に割り当てられてたステレオタイプなんじゃないかって」
櫻丼「そこをまるっと反転させたアイロニーは面白いような、”女々しい悪役”的に回収されちゃいそうな危うさもあるような」
ぢゅん「俺はローマンの実利主義ぽいところが一番嫌なとこかな。ハーレイもローマンもクレイジーで見栄っ張りな部分は似てるんだけど、ハーレイは完全に自分の快のためだけに悪をやってるけどローマンは金と名誉のためっぽいとこあるじゃん。そこが好けるか好けないかの一線ていうか。ローマンはどんなに自宅に芸術品を飾ろうがハーレイみたいなアーティストにはなれないって感じ。『ダークナイト』のジョーカーが札束燃やしちゃうのと同じ感性があるじゃんハーレイには」
相場「ハーレイも最後は実業家になるけどね」
ぢゅん「まあ、お金はだいじだからな・・・」
ミノ「・・・。ハーレイの「憎めなさ」表現はかなり色々考えたんだろうな、って感じはあるよね。憎めない悪役としてのモラリティ・ラインをどの辺に引くのかっていう」
櫻丼「ライン(線)っていうより、モラリティ・ベクトルって言いたい感じがするな。セクハラしてくる店員はさくっとハイエナに食わせるけど、警察署に乗り込んで行った時に警官たちは殺さないっていうあたり、線として見るとギリギリアウトしてる気がするんだけど、この映画のテーマ性を力の向きとするベクトルで見れば「まあ分かる」って感じ」
ぢゅん「ハーレイの悪役性がゴッサムシティの反体制ヴィランって方向性だったらむしろ警官をこそ殺せよ、ってなるもんね。でも今作のハーレイが負ってるものはそっちじゃない」
ミノ「バットマンとかも全然関係ないもんね今回。他のバットマン/ジョーカーものに比べるとゴッサムという街そのものの存在感は薄い」
相場「ハーレイだけの話じゃなくてさ、今回はチームものじゃん。他のメンバーもいいキャラしてたよね」
ぢゅん「なんといってもハントレスだよね」
相場「わかるー俺もハントレスいいと思った」
ぢゅん「えー相場くんもなの?」
相場「なんでちょっと嫌そうなの」
ミノ「あれだ、同担拒否だ」
ぢゅん「俺はハントレスの今後の活躍が見たいんだよ。原宿に行ってふわふわパンケーキを初めて食べるハントレスとかが見たいんだよ」
櫻丼「完全にファンフィク作家の発想だ」
ミノ「Tumblrに投稿されてるやつだ」
ぢゅん「なんなんだよ、俺の新鮮な感情をそうやってジャーゴンでカテゴライズするのやめろよ」
ミノ「そうだな、悪かった。でもあまりにも前人たちがならしきった道だったもんで・・・」
櫻丼「ちなみに俺の推しは刑事さんです。聞いてないか。あ、リーダーは?」
リーダー「・・・・・・」
ミノ「どうせ寝てるんだろ」
ぢゅん「ち、ちがう、これは・・・リーダーが止まってるんじゃない、彼だけ回線速度が遅すぎて画面が止まってるように見えてるだけだ!」
リーダー「あ・・・・d・・」
櫻丼「まじか。リモート開催の弊害がこんなところに・・・」
相場「いや気づくタイミング遅くね?」