嵐とみる『アベンジャーズ/エンドゲーム』

Share

◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯—-

ぢゅん「エンドゲーム、◯◯◯◯◯◯、◯◯◯で◯◯◯◯◯◯だったねーー」

櫻丼「まさか◯◯◯◯◯◯かと思ったら◯◯◯◯◯◯するとは…」

相場「なに、なんか何言ってるか聞こえて来ないんだけど、そのまるまるみたいなの何語なの」

ミノ「居酒屋の他のお客さんへのネタバレ配慮でしょうが。いまエンドゲームのネタバレしたら社会的信用を失うだけでなく下手したら殴られて死んだりするかもしれないんだぞ」

相場「そうか、そうだな、気をつけて話すよ。まさかアイアンマンが○ぬと思わなかったもんな!」

ミノ「待って怖い怖い、全然隠せてない怖い伏せ方下手かよ」

ぢゅん「いやなんか今のは伏せ方とかそういう問題じゃない!言い方にデリカシーがなさすぎる!!そんなただの物語上の展開みたいな言い方やめてよ!!彼の死は俺たちの人生の章におけるひとつのピリオドでもあるんだよ…」

櫻丼「俺は最初から話の内容がデカすぎることが怖いんだけど。まあしかし今回は心置きなく話すために個室とってるんだから、落ち着いて話しましょうよ」

相場「ていうか、ぢゅんくんはなんかそうやって落ち込んでる風だけどさ、むしろ俺はぢゅんくんが羨ましいんだよ。俺はぢゅんくんほどこのシリーズに思い入れがないからさ、俺にとってはあのラストは「アイアンマン死んじゃった」でしかないわけ。でもぢゅんくんに見えてるものは違うんだよね。つまり人によって観たラストシーンが違うんだ。ぢゅんくんが観たラストシーンは、11年間追ってきた人だけが観ることができるラストシーンなんだよ」

ぢゅん「そう言われると、今まで追っかけて来てよかったって思えるな…」

相場「ていうか正直俺はもう誰が誰だか訳わかんない。分かるのはサノスだけ。サノスだけはアゴで判別できる」

ミノ「そのレベル?でも俺わりと今回でサノスのこともよくわかんなくなっちゃったな」

櫻丼「そう?サノスはわかりやすいじゃん」

ミノ「だってさ、生物を半分にする、っていうのはサノスがインディー時代から追っかけてた夢じゃん?」

ぢゅん「インディー時代とかあるの?」

ミノ「なのにさ、なんか今度は「いっそ宇宙を粉々にしていちから作り直す」とか言いだしたじゃん…なんかもう付いていけないなってなっちゃって…」

ぢゅん「いや生物を半分にするの時点で十分ついていけないけどな」

ミノ「サノスも随分セルアウトしちゃったな、って思ったね。やっぱみんな大きくなるとぼんやりしたこと目標にしだすじゃん、最初は「いつか東京ドームでライブがしたい」って明確な目標掲げてたやつらも、それを叶えちゃうと今度は「人々に夢を与えたい」とかになるじゃん。夢を与えるって具体的に何?みたいな。それだね」

櫻丼「それなの?そもそも俺も最初からついていけてないよ。サノスは半分にすればいいっていうけどさ、本当に半分でいいのか、1/3にしなくてもいい根拠はあるのか、とかあるじゃん」

ぢゅん「そっちの心配なのかよ」

櫻丼「ちゃんとデータで示してほしいよな、具体的に半分にするといち生物あたりの幸福度はこれぐらい上がるんですよ、ってパワポでスライド作ってくるべきでしょ、とりあえず折れ線グラフとかあると説得力が増すじゃん」

ミノ「TEDトークに出るのか?」

ぢゅん「いやむしろなんらかの根拠があってやってるって方が脅威に感じないよ。あれはロジックを超えたところでやってるのが怖いんじゃん。狂信っていうかね。とにかくそうするのが俺の運命であり必然なんだって信じてやってるんでしょ」

相場「でも似たようなことを言ってた悪役って今までにも結構いた気がする」

ぢゅん「そう考えると悪役のあり方って似通りがちかもな。正義は色々な顔を持ってるけど」

櫻丼「いかに生きるべきかって理想論より、いかに生きているかって現実を見てやるべきことをやれっていうサノス方針は一見君主論的なんだけど、でも指パッチンをやり遂げたあとの統治にはあんま興味なさそうなんだよね。銀河を理想通りの形にしたいならむしろそこからどう”国”を維持するのかが腕の見せ所なんじゃん、って思うけど、”それさえやれば世界は良くなるんで、自分の役割はそこで終わりです”みたいな、主体的かつ長期的なモチベーションのなさを見ると、自分はただの”運命の使い魔”だって位置付けなんだろうね」

相場「農園にいるとこ俺イラっとしちゃったなーー、おい、なに自分だけロハスで良い感じの生活してんだよ!って」

ぢゅん「確かにね。けどふつうヒーロー映画で悪役が悪を達成しちゃったあとって見ることないじゃん。だから今回その景色が見れちゃったのってなんかすごかったよな。俺たちはバッドエンドの向こう側の景色を見ちゃったんだよ」

ミノ「指パッチンの向こう側」

相場「あれって指パッチンできない人とか下手な人がガントレットを手にしたらどうなるのかな。やっぱ音がカスってたらパッチン認定されないのかな?」

ぢゅん「どうせならくるくる回りながら「ミラクル☆プリプリパワー!!」って言わないと発動しない、とかでも良かったよね。なんかキラキラしてて魔法少女のアイテムっぽいしさ」

櫻丼「シンプルに見たくないなそのサノス」

ミノ「ていうかなんでこんなサノスの話ばっかしてんの。普通ヒーローの話するでしょもっと。好きなキャラいるでしょ他にもいっぱい。活躍したシーンとかあったでしょ」

相場「あったよ~俺的にアツかったシーンはね、ポッツがアーマー着て戦ったところ!!」

櫻丼「へ、へえ…」

相場「えなにその反応」

櫻丼「いやまあなんかあれは「あー、そんなこともあったよね」ぐらいの感じだったかなって…」

相場「いいじゃん俺ポッツ好きなんだもん顔が!顔が好きなの!なんかみんな冷たくない?グウィネスに対して。グウィネスってなんか悪いことしたの?人を殺して内臓を食ったりしたの?」

櫻丼「いやしてないけど全然そんなことは」

相場「じゃあいいじゃん」

櫻丼「誰も良くないとは言ってないじゃん」

ミノ「俺はキャップがムジョムジョニア持って戦ったとこだな」

ぢゅん「ああ~確かにムジョニョニョニョ持った瞬間の劇場内のざわつきすごかったよな。ソーのファンとしてはなんかキャップばっかりカッコいいところ持っていっちゃってずるいと思ったけど」

櫻丼「誰も言えてないぞムニジョニジョア。つか今回のソーはキャラ変わっちゃってたよな。もちろん色々ショックがあってああなっちゃったっていうのは理解できるんだけど、それにしても最後まであんな感じなのかって」

ミノ「あれは「『マイティソー』のソー」なんじゃなくて「『ガーディアンズ』に出演しているソー」なんじゃないの。クロスオーバー作品で書いてる人が違うからキャラも違うっていうの良くあるじゃん。『星のカービィ プププヒーロー』に出てくるワドルディと『星のカービィ プププランドの仲間たち』に出てくるワドルディも全然キャラ違うだろ」

櫻丼「例えで余計わかりにくくするのやめろよ」

ぢゅん「考えたらそれぞれ違う監督とかが作った今までの作品を最後にまとめあげるのってすごいよなあ」

ミノ「今回のタイムトラベルの話でさ、「過去に起こったことは変えられない」ってルールがでてくるじゃん。俺あれがなるほどなと思って。だって過去の話っていうのは『エンドゲーム』からしたら他の人が書いた作品じゃん。他の人が書いた作品に対して、『エンドゲーム』は観客になるしかできないじゃん」

櫻丼「それにさ、過去の作品を変えるってことは、それを過去に観た俺たちの人生をも変えなきゃいけなくなるってことだよ。だから今回、彼らは過去作品のあらすじを変えることはできなくて、”カメラに映っていなかった場所”でしか活動できないんだ。でもそのおかげで、俺たちがアベンジャーズの過去作を見返した時に「あ、実はこのシーンの裏側では、未来から来たアイアンマンたちが悪戦苦闘してるんだな」っていう多層的な見方ができるようにもなったんだよね」

相場「”あの時のシーン”の数々を裏側から見せるって仕掛けはシンプルにわくわくしたよね。まるで総集編をキャラクターたちと一緒に観ているみたいだった。あんなことあったね、こんなことあったね、っていう」

ミノ「”カメラに映っていなかった場所”でなにが起こっていたのか想像する、っていうのは、”ファンの同人活動”にも近くない?それは物理的なことだけじゃなく、カメラに向かっては明確に描写されていなくてもこの時このキャラはこういう気持ちだったんじゃないか、とかそういう抽象的なことも含めて」

櫻丼「そうだね。それで思うのは、映画っていうのは基本的には”連続した2次元の絵”なわけでしょ。最近はそれに新たな”次元”を加えるために3D上映とか4DX上映とか出てきてるわけだよね。で、現時点ではそういう情報量の付加って4Dが限界になってる。でもさ、カメラに映っているものを観ながら、カメラに映っていないものも同時に観ているっていう状態があるとしたら、それって情報量がもう1次元分多いってことにならない?」

ぢゅん「5D映画になるね」

櫻丼「で、実はそういう上映はもう実現してるとしたら。それは最初に相場くんが言った「俺とぢゅんくんでは観ているラストシーンが違う」ってことにも繋がると思うんだ。つまり”ファン”だけが、キャラクターへのオブセッションによって、あらゆるシーンの余白を想像しまくったことによって、5Dの情報量で映画を観ることができる、エンドゲーム はそういう仕掛けを使っていたんじゃないか?って思うんだ」

ミノ「お、オタクの愛だけが5Dへの扉を開くというのか…」

相場「あたりまえっぽいことをすごいっぽく言ってるだけなのかほんとにすごいのかはよくわからないけどなんか感動した!!」

ぢゅん「起こったことは変えられない、けど映らなかったことを想像するのは自由ってことなんだ。ドクター・ストレンジは14000605分の1の可能性に賭けたわけだけど、それは製作陣が14000605通りのストーリーの可能性からこの1つを最善のものとして出してきたって意味なんだよね。エンドゲームのラストはこれしかありえなかったってこと。でも、後の14000604通りは俺たちに残されてる」

リーダー「引退の時なのかもしれない、おれにとっても…」

櫻丼「おう急にどうした」

リーダー「いや、実はこのところずっと考えていたんだ、おまえらとこの活動を続けていくことに対して」

ミノ「”活動”っていうのはみんなで映画を観てこの居酒屋に来ることを指してるのか?」

リーダー「そうだよ。この活動をすることは俺にとって当然になってた、けどふと思ったんだ。そうじゃない人生もあるのかもしれない、って・・・」

相場「多くても月いちぐらいでしか活動してないけど…」

櫻丼「まあ、強制することじゃないから、リーダーが好きなようにしなよとしか言えないけどさ」

相場「え?じゃあ次回からもうリーダーは参加しないの?!」

リーダー「いや、1年後ぐらいから暫く休もうかと考えている最中だ」

ぢゅん「1年後なの?なにその期間?なんの期間?いやまあすぐやめてほしいわけじゃないからそれはそれでいいんだけど…」

リーダー「大丈夫、少し休んだら必ず戻ってくるよ」

— Leader will return